「大手だから安心」という言葉を信じた結果、再起のチャンスを奪われかけた経営者がいます。
今回は、震災による減収から苦渋の決断でタワーマンションの任意売却を決意した今井さん(仮名・42歳)の事例をご紹介します。人気の物件であるはずなのに、なぜか内覧すら入らない――。その裏に隠されていた不動産業界の悪しき習慣とは。
「大手だから安心」という言葉を信じた結果、再起のチャンスを奪われかけた経営者がいます。
今回は、震災による減収から苦渋の決断でタワーマンションの任意売却を決意した今井さん(仮名・42歳)の事例をご紹介します。人気の物件であるはずなのに、なぜか内覧すら入らない――。その裏に隠されていた不動産業界の悪しき習慣とは。
住宅ローンを滞納すると、まず「代位弁済(だいいべんさい)」という手続きが行われます。これは、保証会社があなたに代わって銀行へローンを一括返済することを指します。
この段階で、あなたの借入先(債権者)は銀行から保証会社、あるいは債権回収の専門業者である「サービサー(債権回収会社)」へと移ります。
都内のIT企業を経営する今井さんは、6年前に都心一等地のタワーマンションを購入。年収2000万円を超え、将来への不安など微塵も感じていませんでした。
しかし、突然の震災が事業を直撃します。仕事は激減し、収入は全盛期の5分の1以下に。資金繰りに奔走する中、今井さんは決断します。
「この住宅ローンさえなければ、もう一度ビジネスを立て直せるはずだ」
こうして、残債約9,800万円に対し、査定額8,800万円という「オーバーローン」状態での任意売却が始まりました。
今井さんは当初、安心感を求めて誰もが知る大手不動産会社に売却を依頼しました。 担当者の「大手ですから任せてください」という言葉を信じ、専任媒介契約を締結。物件は人気のエリア、人気のタワーマンションです。すぐに買い手が見つかるだろうと楽観視していました。
ところが、1ヶ月経っても、2ヶ月経っても「問い合わせが1件もない」という信じられない報告が続きます。
不審に思った今井さんは、友人の賃貸不動産業者に調査を依頼。そこで衝撃の事実が判明します。
「今井さんの物件、他の業者が客付けしようとしても『商談中』と嘘をついて断られていますよ」
これがいわゆる「囲い込み」です。自社で売り手と買い手の両方から手数料を取る(両手仲介)ために、他社からの正当な購入希望者を排除していたのです。
大手への不信感が募った今井さんは、任意売却を専門に扱う「任意売却エージェント」に相談。以下の2点を最優先事項として再スタートを切りました。
・徹底した秘密厳守(競売を回避し、事業への影響を防ぐ)
・引越し費用の確保とセカンドオピニオン(再起のための資金援助)
エージェントが改めて販売を開始したところ、驚くべき事実がわかります。実は、以前からそのマンションを買いたいと待っていた顧客が、他社にいたのです。大手の囲い込みさえなければ、もっと早く解決していたはずでした。
最終的に、債権者である保証会社も大手の実態に驚きつつ、迅速に売却を承認。今井さんは無事に任意売却を成功させ、以下の成果を得ることができました。
引越し代貸付制度の利用により、手持ち資金ゼロでの移転に成功。
提携弁護士による任意整理の手続きを進め、残債の問題もクリア。
競売を回避したことで、周囲に知られることなく再起の足がかりを掴んだ。
今回のケースでは、大手不動産会社のモラル欠如が今井さんの再起を危うくしていました。
「餅は餅屋」という言葉通り、特にオーバーローンの状態で行う「任意売却」は、一般的な売却とは進め方が全く異なります。
・囲い込みをしない透明性
・債権者(銀行等)との高度な交渉力
・弁護士や司法書士との連携体制
これらが揃って初めて、人生の再出発が可能になります。
「どこに頼んでも同じ」ではありません。
住宅ローンの返済に窮した際は、ブランド名だけでなく「あなたの生活を守るための制度(引越し代保証など)」を持っている専門家を選んでください。