住宅ローンの返済に行き詰まり、自宅を手放さざるを得ない状況に直面したとき、現実を受け入れたくないあまり、配偶者や家族に事実を隠そうとする人が後を絶ちません。しかし、実務の現場を長年見てきた経験から言えば、家族に嘘をついて隠し通せたケースは一例もありません。
銀行からの督促状、催告書、あるいは裁判所からの通知が自宅に届けば、遅かれ早かれ状況は必ず発覚します。事実の発覚が遅れるほど選択肢は急速に狭まり、いざ発覚したときに「なぜもっと早く相談してくれなかったのか」という深い不信感が生まれます。
それまで味方だったはずの家族が一気に離れていってしまい、本来であれば協力し合って乗り越えられるはずの問題が、夫婦間の取り返しのつかない亀裂や離婚へと発展してしまうのです。
ここ最近、公式LINEを開設したこともあり、旦那様が一人で抱え込んで隠していた問題を、奥様がLINEから直接お問い合わせしてきて発覚するケースが非常に増えています。
私たち実務者側としても、ご本人だけでなくご家族からのお問い合わせであるのかどうかをしっかりと確認しながら慎重に話を進めなければならないと痛感しています。現場では、きちんと夫婦で向き合って話をしているケースと、隠し通そうとして破綻するケースとで、その後の結末が大きく分かれます。
突然の事態に直面した奥様も、計り知れないほどのショックを受けています。公式LINEにご連絡をいただく奥様の中には、頭が真っ白になり、怒りや不安で感情が昂っていらっしゃる方も少なくありません。
「妻が文句を言ってきた」「責められた」と身構えるのではなく、それだけ不安な思いをさせてしまったという現実を直視し、起きてしまった事態を奥様と一緒に冷静に受け止めてあげてください。
怒りや文句の裏側にあるのは、「これからどうなってしまうのか」という恐怖や家族を守りたいという思いです。文句を言いながらも、最終的にサポートしてくれるのは一番近くにいる家族にほかなりません。
私たちは仕事として日々多くの案件に携わっているため精神的に追い詰められることはありませんが、当事者であるご本人やご家族の「心」は生卵と同じです。
心とは脳そのものであり、熱中症と同じように過度なストレスやプレッシャーが加わり続けると、文字通り脳が茹で上がってしまい、一度その状態になってしまうと自分一人ではどうすることもできなくなってしまいます。
過去に限界を超えて心が茹で上がってしまった人を何人も見てきました。思考が停止してしまう前に、私たちが役所の窓口まで一緒に同行し、担当者に事情を説明して生活保護の申請や生活再建への道筋まで導くケースもあります。
手遅れになって取り返しのつかない状態に陥る前に、どうか一人で抱え込まずにご家族に正直に話し、そして専門家に頼ってください。