20年前、川崎市麻生区に夢のマイホームを購入された田中様ご夫妻。住宅ローンは、お互いが連帯保証人となる「ペアローン」の形式でフラット35を利用されました。
この選択には理由がありました。ご主人が持病の潰瘍性大腸炎を患っており、一般的な団体信用生命保険(団信)に加入することができなかったためです。万が一の際は残された配偶者に債務が全額残るリスクを承知の上でのスタートでした。
そして先日、ご主人が急逝。深い悲しみの中、田中様は今後の住宅ローン返済に不安を感じ、弁護士へ「相続放棄」の相談をされました。
しかし、弁護士から告げられた現実は非情なものでした。「ペアローンの連帯保証人となっている以上、相続を放棄してもご自身の連帯保証債務はなくならず、全額支払う義務を負う」というものでした。自宅を手放しても多額の借金が残る可能性があり、完全に八方塞がりの状態に陥ってしまいました。
今後の見通し(不動産価格)が分からず、弁護士から「ご自身で不動産会社を探すように」と指示を受けた田中様は、インターネットで任意売却の専門家である弊社へご相談くださいました。
ご相談を受けるや否や、弊社は直ちに状況を把握。以前から私が相談していた信頼できる弁護士チームへ連絡を取り、ご本人を交えた三者面談を即座にセッティングしました。
通常の任意売却では解決しきれないと判断し、弁護士と共に提案したのが「限定承認(げんていしょうにん)」という法的手続きでした。
これは、相続によって得た財産の限度内でのみ被相続人の債務を弁済するという制度です。今回のケースでは、自宅(不動産)を適正な価格で任意売却し、その売却益でペアローンの残債を一括返済に充てる(完済する)ことができました。そして、ご主人の他の財産については相続放棄することで、田中様個人の資産を守りつつ、連帯保証債務の拡大を防ぐスキームを構築しました。
複雑な手続きに加え、期限のある任意売却の交渉であったため、弁護士とは連日連絡を取り合い、綿密な打ち合わせと調整を重ねました。関係各所との交渉も難航しましたが、専門知識とチームワークを駆使し、無事に決済(売却完了)を迎えることができました。
無事に住宅ローンを完済し、自宅の清算が完了しました。
何よりも大きかったのは、相続放棄では免れなかった連帯保証債務から解放され、新たな生活資金を確保して再出発の準備ができたことです。
ご主人を亡くされた喪失感に加え、巨額の債務不安に押しつぶされそうになっていた田中様からも、「最後まで諦めずに相談して本当によかった」と安堵のお言葉をいただきました。
持病などで団信に加入できず、夫婦ペアローンや収入合算で住宅ローンを組まれているご家庭は少なくありません。しかし、万が一の際に「相続放棄すれば大丈夫」と安易に考えてしまうのは非常に危険です。連帯保証人としての責任は、相続放棄とは別次元で発生します。
今回の事例のように、相続・税金・不動産売却の知識が複雑に絡み合うケースでは、一般の不動産会社や弁護士だけでは解決が難しく、任意売却と相続に特化した専門チームの連携が不可欠です。
「ペアローンで連帯保証人になっている」「夫が亡くなり、ローンと家をどうすればいいか分からない」とお悩みの方は、手遅れになる前に、一刻も早く私ども専門窓口へご相談ください。